気密と断熱【家へのこだわり】

こんにちは、セレクトホーム代表の脇長です。

私は皆様に健康と笑顔を届けられるように、日々家づくりを通して様々な点から学んでおります。このブログでは最近家づくりでは当然のように言われるようになった「気密と断熱」についてお話ししようと思います。

はじめに、冬暖かく、夏爽やかな空間を実現するために、学ばなければならない必要な要素は、大きく3つあります。熱の伝わり方、水蒸気の性質、気密の取り方の3つです。今月はこの熱のことについて少しだけ書きます。

熱の伝わり方

熱の伝わり方は伝導、対流、輻射の3つです。住宅を例に簡単に説明しておきます。
黒い屋根が夏の太陽で熱せられ、70℃まで温度が上がります。その熱が屋根の下地の合板に、接触している部分から伝わります。屋根下地合板が60℃になりました。今度は屋根下地合板は接している垂木という材木に、その熱を伝えます。垂木は50℃になります。これらの熱移動は伝導です。今度はその熱は小屋裏空間があるため、直接接していない2階の天井地(石膏ボード)に伝わります。天井地の温度は40℃です。天井地の温度が40℃であれば、2階にいる人間は体温36℃ですから、その40℃の熱をもらいます。暑いです。垂木から天井地、天井地から人間に熱が移動するのは輻射です。2階にいる人は暑くてたまりません。扇風機を回します。少しだけ涼しくなります。これは扇風機の空気が、体の表面の熱を吹き飛ばしているからです。(汗を乾かすときの気化熱もあります)これは対流です。

簡単に書きましたが、実際には家は伝導、対流、輻射が個体、空気を介して、非常に複雑な熱移動を行います。ここでは、伝導、対流、輻射という言葉だけ覚えておいてください。

インターネットで「熱の伝わり方」と検索していただければ、解りやすい事例がたくさん出ています。伝導→湯呑が熱くて持てない。対流→エアコンで冷暖房する。輻射→たき火、太陽の熱等々です。

ここで皆さんに、絶対覚えておいてほしいことの最も大事なひとつは “熱は高いところから低いところに移動する”という宇宙の大原則です。冬、窓のそばにいると寒く感じます。窓ガラスの温度が15℃であっても、人間が36℃の熱をもっている以上、36℃の熱は15℃のほうに移動するのです。(輻射熱移動)冬、いくら暖房して部屋の温度を22℃まで高めても、窓がある限り、確実に熱は奪い去られて温度は下がり、人は寒く感じます。窓をすべてなくせば、熱は中々逃げません。暖かく暮らせます。夏も同じことが言えます。窓から強烈な熱が入ってきます。いかに室温を26℃に下げようと、必ず温度は上がります。しかし、窓をすべてなくせば、熱は入ってきません。とても涼しく快適です。

でも、家の中は真っ暗です。こんな家は見たことがありませんし、もし本当に造ってしまったら、恐ろしく息の詰まる、まるで牢獄と同じようなものになるでしょう。

ここで皆さんに、覚えておいてほしいことの2番目は、“窓の大きさと、快適な温熱環境は反比例する”という事実です。つまり簡単に言いますと、明るい解放感のある家ほど、暑くて寒いということです。それでも、暗いよりは明るいほうが良いと、多くの方は言いますし、私もそう思います。そこで次回は、明るくてしかも、快適な温熱環境を作るためには、どうしたらよいかを書いてみたいと思います。

気象庁の気象データ

熱の伝わり方に伝導、対流、輻射の3種類がある、「熱は高いところから、低いところへ移動する」、「窓の大きさと快適な温熱環境は反比例する」の3つを学びました。今回のテーマは、明るくしかも快適な温熱環境をどうやって造るかです。そこで、その前に一つ確認しておきたいことがあります。気象庁のホームページに全国の気象データが掲載されています。神戸の2011年の月ごとの気温(平均・最高・最低)平均湿度をみますと以下の通りです。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
最高10.318.119.321.425.434.035.835.234.326.725.417.9
最低-3.20.20.35.013.116.822.123.116.011.16.40.8
平均4.27.58.013.719.523.627.428.825.419.915.78.2
平均湿度596462637080777373666358

注目すべき事実があります。最低気温が15℃以下の月(1月~5月、10月~12月)は8か月あります。最高気温が30℃以上の月(6月~9月)が4か月あります。皆さんは15℃以下で寒くないですか?30℃以上は暑くないですか?私は寒くて暑いです。つまり1年12ヶ月は寒くて暑い月ばかりだということなのです。もちろん、春らしい、秋らしい、すがすがしい空気に満たされた日々もあることは承知していますし、私もそういう日々が大好きです。しかし、現実にはそのような幸せな日々というのは、1年でもほんの僅かしかないということです。最低でも1年の90%は、とても過酷な気象条件のなかで暮らしていかなければならないという現実をこのデータが示しています。したがって、「自然と共に暮らそう」とか「自然と共生しよう」とか「外の清々しい空気を我が家に」などのキャッチフレーズは、現実を無視した虚言であると私は思います。どうして、0℃や5℃や35℃の外気と共に暮らせるのでしょうか。はっきり言って人命軽視もはなはだしい。だから、毎年2万人近くの人が、家で命を落とすのです。私の考えでは、家は外とは確実に遮断すべきもの、なぜなら家は、家族の幸せの器でなければならないからです。

前段が長くなりました。明るく、しかも快適な家を造る方法は以下の通りです。

住み心地を良くするために

  • 窓を含めた断熱性能を上げる
  • 夏の西日があまり入らない窓にする
  • 南面だからといって極端に大きな窓をとらない
  • 窓を含めた気密性能を上げる
  • できれば外断熱工法で大きな小屋裏を造る
  • 屋根材や外壁材は出来るだけ遮熱効果の高いものを選ぶ
  • サッシガラスに日射熱取得率の低いものを使う。

以上の7つを実践していただければ、あとはご希望の窓を入れて頂いても、満足していただける明るく、住み心地の良いお家が出来ます。要するに、家は高断熱・高気密にしましょうということです。それと、夏対策として屋根と外壁材は出来るだけ白いものを選んだほうが、必ず住み心地は良くなります。たとえば、屋根に黒や濃茶の瓦を載せますと、真夏の表面温度は70℃を超える時があります。反対にシルバー色のガルバリウム鋼板という金属屋根にしますと、最大で42℃くらいまでしか温度は上がりません。これは濃い色が熱をためこむ性質があるのと、白やシルバーは熱を反射する遮熱効果と、金属という熱伝導率の高い(熱しやすく冷めやすい性質)素材が、空気温度(気温)に熱を奪われていることによるものです。
次回は水蒸気の性質と結露のことを書きます。

2012年7月
文責 脇長敬治

水蒸気の性質と結露

前回は「熱の伝わり方」についてご紹介しました。皆様いかがでしたでしょうか?少し説明不足な点があるかもしれませんので、その時はぜひお気軽にお問合せ下さい。

では、次に「水蒸気の性質」についてご紹介していきます。水蒸気は皆さん普段からよく見ているのではないでしょうか。例えばご飯を炊くときに出てくる水蒸気、冬の寒い日に息を”はぁ”と吐いた時の白い息などがあります。しかし家の中での水蒸気は他にも冬の寒い日に家の中で暖房をつけていると、窓に水滴がついています。それを「結露」と言います。その原因が湿気です。

湿気による室内の不快感

一般的に、梅雨の時期はジメジメして不快だと言われますが、私にはこの8月のほうがはるかに不快です。神戸の今年6月の平均気温は23℃で平均湿度は69%、8月は29.4℃で66%です。不快指数表(別紙)というものがあります。これに照らし合わせても、分かるように気温17℃~25℃の間は相対湿度が30%であろうと100%であろうと快適だということです。もっとも平均気温と平均湿度ですから、瞬間的にはやや不快、あるいは不快の範疇に入ることもあったのですが、それは全体から言えば僅かです。ですから6月は快適な季節と言えるのではないでしょうか。(雨が嫌いという人には不快な月です)8月は平均が29.4℃ですから湿度40%以上はやや不快、不快となります。湿度が40%以下になることはありますが、ほんの一瞬です。したがって、8月は不快な月と断定できます。

以上のことは全て外気温、外気湿度のことです。家の中とは別の問題となりますが、現実には外気の影響を大きく受けることになります。この時期、外気温33℃、湿度60%という状態はよくあります。絶対湿度表(別紙)を参照して下さい。この表は空気1立方メートルの中に、何グラム(何CC)の水が水蒸気として含まれているかを示すものです。33℃、60%の時は21gです。今、家の中は冷房しています。26℃まで冷やしました。除湿が無いものと仮定すれば、この空間に水蒸気がどんどん侵入し、エアコンで26℃を維持し続ければ、湿度は90%になります。不快指数表によればやや不快となります。26℃、90%の絶対湿度は21gです。外気と同じ量です。なぜこのような現象が起こるのか。前回、”熱は高いところから低いところに移動する”との大原則を言いました。水蒸気も同じです。

“水蒸気圧の高いところから低いところに移動する”これも宇宙の法則です。簡単に考えて下さい。
“水は高いところから低いところに流れる”これと同じです。宇宙の法則は、すべてを平準化(平等に)しようとするのです。しかし、家の中を外と平等にされてはかないません。私たちは知恵を絞って、快適な空間を作り出さなければなりません。そのためには水蒸気の性質を知らなければなりません。水蒸気の大きさは一般的には1000万分の3ミリ~10万分の4ミリと言われています。この大きさでは金属とガラス以外の個体は、ほとんど通過できます。家で金属とガラスと言えば窓サッシです。ですから、窓サッシ以外のものは、すべて水蒸気は透過します。外壁も屋根も内壁も透過します。窓サッシといえども窓の外枠と内枠の隙間、内枠間どうしの隙間から水蒸気は入ってきます。水や風は通しません。でも、水蒸気は入ってきます。防ぐことはできません。どうすればよいでしょうか。答えは一つです。家の気密性能を上げるしかありません。水蒸気の侵入を防ぐことは不可能ですが、侵入量を減らすことと、遅らせることは可能です。

家の中で4人家族は1日に約12ℓ(12000g)の水蒸気を発生させます。延床120㎡の家の体積は120×2.5m=300㎥。室温20℃で300㎥の空間が含むことのできる最大量は、絶対湿度表から湿度100%で17.2gですから、17.2g×300㎡=5160g。一日の水蒸気発生量は12000gですから12000g-5160g=6840g。6840g=6840ccなんと一升瓶4本分の水蒸気がこの家では収容しきれません。この収容しきれない部分はどこかで水になります。これが結露です。窓ガラスなどの見えるところの結露ならまだ救いはあります。でも、見えないところで、特に壁の中で結露し続けたら最悪です。カビが発生し、ダニが発生し、腐朽菌が発生し、最後に家が腐ります。このような家が無数に存在します。そして今も造り続けられています。恐ろしいことです。

前項で水蒸気は水と同じで、水蒸気圧の高いところから低いところへ移動する、これは宇宙の法則で一般の住宅では止めるすべがないことを記しました。夏は外から内へ、冬は内から外へ移動します。夏、外から内へ移動することについては、室内の不快感というものの発生はあるものも、壁体内の結露の発生(夏型結露)は、よほどのことがない限り、さほど心配する必要はないと考えられます。問題は冬型結露です。これはかなりの確率で発生します。そして家を腐らせます。これは防がなくてはいけません。以下にその方法を記します。

冬型結露の対策

  • 充填断熱(内断熱)の場合、柱の外に透湿抵抗の高い面材(構造用合板、OSBボード、サーモプライ等)を張らない。張るのであれば透湿抵抗の低いもの(ダイライト、ハイベストウッド、ケナボード等)を張る。
  • 充填断熱材(内断熱材)にグラスウールやロックウールではなく、羊毛断熱材等の大きな吸放湿機能のあるものを使用する。
  • 外断熱にする。
  • 外断熱し、さらに壁体内の通気層を確保する。
  • 外断熱し、壁体内通気層を確保し、さらに通気層内を強制換気する。

以上、代表的な対応策を列記しましたが、これらはすべて木造軸組工法を前提としています。

ツーバイフォー工法は構造用合板を耐力壁として使用することが前提となっているため、壁体内結露の発生リスクはかなり高く危険です。鉄骨構造は鉄自体の熱伝導率が木材のおよそ800倍もありますから、もし鉄骨が屋外のベランダ部と屋内構造部とで一体となっていれば、激しく結露する可能性がありとても危険です。鉄骨構造では、内外部の鉄骨自体を確実に外断熱するしか外に、結露発生リスクを押さえることは出来ません。

ツーバイフォー、鉄骨造ともにたくさんの長所を持っていますが、こと結露に関して言えば、両方とも失格と断定しても良いと考えます。(これは一般論で、特別な装置や、特別な断熱を施せば、それは話は別です。しかし、現在私の知るところそのような住宅はまだ市場に出ておりません)

皆さんは携帯電話やスマートフォンの中に、調湿能力の高いシートが組み込まれているのをご存知でしょうか。これらの中にも水蒸気は易々と侵入し、結露を発生させ、機械を壊してしまうのです。だから、調湿シートを挿入し、これを防ぐのです。水蒸気をなめてはいけません。かっては、その力によって機関車を走らせていたのです。ものすごい力があります。どんなところにも侵入します。そして、結露を引き起こします。どんなに素敵なお家を建てても、腐ってしまっては元も子もありません。日本は地震大国です。いつ大地震がやってくるかわかりません。いかに耐震や制震を施しても、肝心の躯体そのものが腐っていては、何の強度も発揮しません。結露を徹底的に意識し、そして排除していきましょう。

2012年9月
文責 脇長敬治

気密の取り方

前回までに熱の伝わり方と水蒸気の恐ろしさ(結露)を学びました。今回は気密のことを少し書きます。

気密と断熱

皆さんは太い毛糸で編んだセーターをもっていますか?冬、そのセーターを着て外に出ます。セーターの下は、長袖ポロシャツ、その下に下着の長袖シャツです。外気温度は1月の平均気温4℃です。風が少し出てきました。どうでしょうか?温かいですか?私は寒くて仕方ありません。そこで、安物の1枚980円のウィンドブレーカーをセーターの上から着ました。すぐに暖かくなりました。980円のウィンドブレーカーは薄っぺらのペラペラです。これにはセーターやポロシャツのような断熱性能はありません。ただ風を通さないというだけです。実は家における気密とは、このウィンドブレーカーのようなものなのです。いかに断熱材を重ねようとも、気密性能が悪ければ、決して暖かくはなりません。

気密と断熱は一体として考えるべきものです。
それでも、読者の皆さんの中には、こう考える人もいらっしゃるのではないでしょうか。

「気密を高めれば、なにか窒息しそうだし、風通しが悪くて、夏にはかえって暑くなるのでは?」と。窒息死するか、良い空気を吸って長生きするかの議論は翌月にします。今月は夏、暑くなるのではという不安について述べます。一般に高気密・高断熱の家は「エアコンが良く効きますよ」と言われます。たしかにその通りです。でも空調しなければ住めない家なんてなんか嫌だなあと思われるかも。私もそうです。真夏に3日間、ずっとエアコンの中にいましたら、全身のけだるさと、吐き気に襲われる、いわゆるクーラー病になった経験があります。妻もクーラーが大嫌いです。以下は南雄三先生著「断熱・気密のすべて」よりの抜粋です。読んでみて下さい。

“————–人間は恒温動物で一定の体温を維持しなければなりませんが、外気温は大きく波打って、冬には体温よりずっと低温に、夏にはずっと高温になります。この様子を図にしてみました。

気密による人の体温変化

真ん中にある帯(グレー部分)が人間が保たなければならない温度(快適温度)です。帯の幅は個人差や我慢できる範囲を示します。冬は寒さに慣れてきて少し低くなっていますが、夏はその逆で少し高くなっています。それでも外気温との差は大きすぎます。冬は裸のまま放置されれば死に至ります。

外気温は大きく波打っていますが、この波を快適温度に近づけるのが建築的手法です。難しい言葉になってしましましたが、要するに断熱・気密ということです。断熱・気密することで波は和らぎ、快適温度に近づいてきます。でもまだ少し快適温度まで届きません。この不足分を補うのが機械的手法です。つまり空調のことです。—–中略—-外気温の影響をまず断熱・気密が和らげますが、それでも足りなければ空調の出番です。もし、断熱・気密だけで済むのであれば空調は不要です。—————–“

 そもそも高気密住宅だからといっても窓を開ければ、その瞬間に気密ではなくなるのです。だからもし、窓を開けることによる通風(対流による熱移動が得られる)だけで、夏に快適さを得られたら、こんなにいいことはないと思います。それを最も実現しやすいのが高気密・高断熱なのです。なぜなら、夏の熱は窓から約65%、その他の部位から35%入ってきます。その他の部位とは、屋根、壁、床、換気のことです。特に屋根と壁から約30%も入ってきます。これを高断熱仕様にすることによって、半分以下から5分の1までに抑えることが可能となるのです。そうすることで当然、室内温度は高断熱でない家よりはるかに低くなるのです。また、最悪エアコン冷房するときでも、隙間だらけの家では外から確実に熱い空気がどんどんと侵入します。(クーラーで冷やすと室温は当然、外気温度より下がりますから、熱移動の原則で、熱は高いところから低いところへ移動します)これを専門用語で冷房負荷が大きいという表現をします。簡単に言えば冷房の効きが悪く、電気をたくさん消費するといことです。気密にすることによって反対に冷房負荷は小さくなります。

クーラー嫌いの方は高断熱・高気密にし、風通しの良い間取を考えるのも一手ですね。でも風通しを良くすることと、窓を大きくたくさんとることとは別物と考えて下さいね。また窓を大きくとるということは熱が入りやすく、逃げやすくなるということです。単純に快適温度だけを求めるのであれば、窓は小さければ小さいほど可能性は上がります。ただし暗くなります。

絶対に冷房は嫌という方には、私が勧める外断熱内気循環工法を採用し、エアコンを小屋裏に設置し作動させれば、エアコンの冷気に触れることなく、快適な涼しさを得られます。詳しくは別の機会に書きますが、どちらにしても、気密がなければこのようなことも実現できません。気密ってとっても大切なんですよ。次回は人間にとって最も大切な空気と気密の関係を書きます。

快適空気の取り入れ方

一般的な4人家族が発生させる水蒸気量は1日で8ℓ~12ℓあると以前に記しました。今度はCO2です。人間が呼吸にともない吐き出すCO2の量は1時間に就寝中で13ℓ、生活中で20ℓです。快適空気を保つためにはCO2濃度を1000ppmに保つ必要があります。そのために必要な換気量の計算式は省きますが、結論として就寝時に20㎥/時、生活時に30㎥/時です。6畳の部屋は約10㎡で天井高は2.5m、気積は10㎡×2.5m=25㎥となります。6畳の部屋で一人が勉強していると、1時間に付、30㎥の新鮮空気が必要です。日本の今の法律では1時間に0.5回以上空気を入れ替えなさいとなっています。つまり2時間以内で全部入れ替えなさいということです。6畳の部屋で一人勉強していると、2時間で60㎥の空気を入れ替えないと、CO2濃度は1000ppm以下に保てません。1時間で0.5回ということは1時間で12.5㎥、2時間で25㎥しか入れ替わらないということです。これが就寝時の場合でも6畳に一人で寝る時には、1時間で20㎥入れ替えないと、1000ppmを超えます。20㎥÷25㎥=0.8回 つまり1時間に0.8回入れ替える必要があります。私は6畳に妻と二人で寝ていますから、40㎥/時必要です。そのためには40㎥÷25㎥=1.6回 すなわち1時間に1.6回入れ替えなければ1000ppmを超えます。換気装置のない部屋ですが、冬は締めきっていますから、CO2測定器をおいてみれば、朝は2000ppmくらいになっています。1時間に0.5回の入替では、実際には快適空気は得られません。国の偉い人もそれは分かっていると思うのです。6畳の部屋で、冬に外気と1.6回/時も入れ替えれば当然ですが少し寒くなります。結果、省エネとは反対に、多くのエネルギーを消費することになるのです。

今までの話は、一つの部屋だけをとって書きましたが、家全体の話をすれば、そんなに矛盾はありません。延床40坪の家の体積は、40坪×3.3㎡×天井高2.5m=330㎥です。330㎥×0.5回=165㎥すなわち1時間あたり165㎥の新鮮空気を、部屋だけでなく廊下もホールも納戸にも供給するのです。そして、寝室のCO2濃度が高まるときは、廊下やホールから新鮮空気を寝室に取り入れるのです。扉を開けてもOKですが、扉を開けるのが嫌なら、1時間当たり30㎥相当の換気量を持つ小口径パイプファンを居室と廊下の間に設置すれば、問題は簡単に解決できます。ただし、条件が一つだけあります。この家の気温がどこでも同じか、又は大差ないということです。そういう意味でも断熱、気密性能の高いものが当然、良いということになります。

2012年11月
文責 脇長敬治

さいごに

数値や専門用語など難しい点もあるかと思いますが、気密と断熱について少しはご理解いただけたでしょうか?もう少し簡単に解説している「気密・断熱のすべて」という記事もおすすめします。

お時間ございましたらこちらもご覧ください。

最後までご覧いただきありがとうございました。