全館空調の危険性 ~コンクリート発がん物質のラドンは~ ~コンクリート粉状物質の有害性は~

以前、この項で全館空調のデメリットとしてダクト内部のホコリ、カビ、虫の死骸等の弊害を指摘しました。そして床下のコンクリート表面の粉塵を吸い込むことの危険性についても自説を記しました。そして全館空調を住宅に採用することはやめた方が、健康で長生きできると結論付けました。今もこの考え方に変化はありません。いやそれどころか、また新しい事実を知ったので、家族の幸せを願っている方々のために、敢えて批判を覚悟でお知らせすることにしました。

住宅と健康の関わり

 きっかけは環境問題評論家の船瀬俊介氏の著書「コンクリート住宅は9年早死にする」(発行リヨン社)を読んだことです。本になっているからといって、それが絶対に正しいなどとは決して思っていません。私は出来る限りの裏付けを取ることを心がけています。本の内容は簡単にまとめますと以下の通りです。

  • 島根大学の調査によると、木造住宅とコンクリート住宅の平均死亡年齢の差は約9年ある。木造住宅の方が長生きです。
  • その原因の一つにガンによる死亡がある。とりわけ肺ガン、乳がんの発生が木造住宅と比べて顕著である。
  • 肺ガンの原因としてコンクリートから放出されるラドン(アルファ線)の影響がある。
  • ラドンは気体である。ウラン崩壊の時に放出される唯一の気体である。

つまり昨今はコンクリートべた基礎が大半ですから、床下にはラドンが充満していることになるのです。私が調べたところ、WHO(世界保健機構)もラドンが喫煙の次に肺がんの2番目の大きな原因であるとして認めています。すでに欧米では家を新築するときにラドンに対して防護対策を取ることを義務付けている。すなわち、危険な床下と室内を遮断することであるとしています。

にもかかわらず、我が国では24時間全館空調の名のもと、危険極まりないであろう床下から新鮮空気と称して発がん物質であるランド入りの空気を室内に取り込んでいる、システムがありますこれが実態です。 もし、どうしても床下から空気を取り入れる必要があるのであれば、コンクリート基礎の表面を何らかの方法で覆う必要が絶対にあります。例えば、コンクリート保護塗料などが考えられます。しかし、私は現段階で、その塗膜によってラドンの放出を食い止めるという確証を持っていません。そうであれば、床下から空気を取り入れることは絶対に危険です。家族の幸せを願うのであれば、絶対に止めるべきです。これが私の確信です。

ラドンとは

2005年6月、世界保健機関 (WHO) は、ラドンは喫煙に次ぐ肺癌のリスク要因とし、これまでに、住居内におけるラドン濃度と肺癌リスクの関係について多数の研究が行われているとして、放射性であるラドンが肺癌の重要な原因であることを警告した。<引用: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)>
ラドンは無味無臭、無色の気体で人間が知覚することはできないとも言われています。

また、ラドンは呼吸によって吸い込まれ肺に到達するとアルファ線(放射線)を放出し肺を被ばくさせます。発がん物質と言えるでしょう。その結果がん、白血病、急性皮膚障害、遺伝性疾患、水晶体の混濁、胎児の発生・発達異常などが起こり得ます。

床下に潜む危険性

明石で注文住宅を建てるための全館空調の危険性1
明石で注文住宅を建てるための全館空調の危険性2
明石で注文住宅を建てるための全館空調の危険性3

 次に、基礎コンクリート表面の状況ですが、弊社ではお客様にお引渡しする直前に床下に潜って掃除機でゴミは完全に除去します。それでも1年点検時に床下に潜って点検すると、点検した社員の服には白い粉が付着しています。この粉の成分はまだ調べたことはありませんが、恐らくセメントであると推測できます。このセメントの粉を吸込み続けるとどうなるかは製品安全データシートを見るまでもなく、有害であることは誰でもわかります。平成29年の厚労省労働基準局の通知によれば、はっきりと「有害性が低い粉状物質であっても、長期間にわたって多量に吸入すれば、肺障害の原因となる・・・中略・・・・肺内に蓄積することによって、肺の繊維化及びこれによる咳、痰、息切れ、呼吸困難、肺機能の低下、間質性肺炎、気胸等の肺障害を引き起こす・・・・」と明記されています。

この事実を知って、それでも床下の空気を室内に取り入れるのでしょうか。

 もう一つ、これは杞憂であればいいのですが、コンクリートの別の問題である発がん物質6価クロムがセメントの粉塵の中に混入していないかということです。我々のレベルでは、そのことについてまだ、その検証は出来ません。しかし、私はいつも同じことを言います。危険と証明されていなくても、危険かもしれないものを住宅に使う必要があるのか、と。他に方法が無ければ致し方ないかもしれませんが、こんな危険なことに挑戦しなくても、住み心地の良い省エネ住宅はいくらでも造れます。ダクトも床下も、完全に清潔無害ではありません。清潔無害どころか床下に至っては発ガン物質ラドンの危険があります。私は複雑な換気システム、空調システムなど不要と考えます。百害あって一利なしとは言い過ぎかもしれませんが、昨今は換気機能付きエアコンを各社が発売しています。とてもシンプルで危険性はほとんどありません。またメンテナンスも簡単です。これらのエアコンが法律の定める24時間換気量をクリアするのであれば、非常に結構だと思います。

クリアしていなければ、ダクトレスの壁付1種換気がとてもシンプルで安全でメンテナンスが容易です。“シンプルイズベスト”は人生にも家にも言えることではないでしょうか。

全館空調は法律で規制すべき!

2022年4月3日に、このコラムでコンクリートベタ基礎の床下に存在する発ガン物質ラドン(α線という放射能)の危険性を指摘しましたが、巷には相変わらず24時間全館空調と銘打った広告や実際の建物が造られています。なかには「全館空調はもうすぐ常識になる」などのキャッチコピーまで出る始末です。

なぜ発ガン物質の室内取り込みを許すのか

何度でも言います。健康な人生を送りたいのであれば、全館空調は絶対にやってはいけません。このコラムの~床下には発がん物質がラドンがある~のWHO世界保健機関のファクトシートをご覧ください。明確に床下には発ガン物質ラドンが存在すると記されています。

皆さん、思い出してください。アスベストのことを。2005年、尼崎のクボタでアスベストによる健康被害が公になり、やっと2006年に石綿健康被害救済法が成立しました。建築基準法も同年に改正され、アスベスト使用の原則禁止が決まりました。しかし、原則禁止であって、それが全面禁止になるまでさらに6年を要しました。2012年、この年に全面使用および輸入が禁止されました。WHOが発ガン性を指摘したのが1972年ですから、実に40年かかって、やっと全面禁止となりました。その間に何十万人のもの人々が亡くなくなりました。そして現在でも年間に2万人前後の方が亡くなっているのです。

第2のアスベスト被害をつくってはいけません。ラドンはその可能性を十二分にもっているのです。床下の空間を利用しないと家は出来ないのでしょうか。全く、そんなことはありません。全館空調しなければ快適に暮らすことが出来ないのでしょうか。全く関係ありません。何も知らないお客様を取り込むために作った住宅会社の奇をてらった策謀は、これを法律で禁止すべきであると、確信しています。

第2のアスベストにしてはならない

〇〇空調なる全館空調システムは床下に熱交換器を設置してるが、床下の空気を直接、室内に送り込んではいないとの仕組みとなっている。しかし、床下に熱交換器を設置し、室内から排気された汚染空気を一旦床下に排気し、熱交換器の熱交換素子に取り込めば、不織布で出来ている熱交換素子を気体であるα線(ラドン)は間違いなく給気側に透過し、結果、室内に送り込まれることになります。百歩譲って、どうしても全館空調をやりたいのであれば、床下たとは完全に縁を切って実施すべきです。ただし、ダクト配管を使う限り、ダクト内の汚損(ホコリ・虫・カビ)から逃れることは出来ません。「ここから新鮮空気が供給されます」という営業トークにだまされてはいけません。10年も経てば、ここから(給気口)出てくるのは、発ガン物質ラドンかホコリか虫の死骸かカビ菌です。

ダクトは掃除できない

今の家には必ずダクトが配管されています。私たちの造る家にも、それはあります。そして、基本的にダクト内部を清掃することはほぼ不可能です。直径50~100ミリの蛇腹になった配管の中を何十年も空気が通り続けるわけですから、内部が綺麗な状態でなくなることは普通のことです。ですから家づくりには最低、どうしてもダクトを使わなければならない箇所だけにダクト配管し、不必要な箇所にまで配管することは百害あって一利なし、と言わざるを得ません。つまり冷暖房はシンプルにダクトを使わないエアコンやその他の冷暖房機器を使用すれば、健康を損なうリスクは大きく下がります。ただし、CO2を室内に放出する開放型の暖房機は使用してはいけません。念のために。

床下の発がん物質ラドンの実験

ラドンの発生場所とされる床下にアメリカ製の小型ラドン測定器を使ってラドン発生量の計測を行いました。その結果は以下の通りでした。

実験結果

結果は2.3pCi/L(ピコキュリーパーリットル)

このラドン測定器は4.0pCi/Lになるとアラームが鳴るように作られています。つまりアメリカでは4.0pCi/Lを超えると住宅に何らかの措置を施すように政府機関であるEPA(米国環境保護庁)は指導しています。

その理由は簡単です。肺ガンになるリスクが大きいからです。この表はIARCの作成した発ガン物質をグループ別に記したものです。

グループ1:ヒトに対して発がん性のある(Carcinogenic)、化学物質、混合物、環境

化学物質α線放射各種の内部被曝(Radionuclides,a-particle-emitting,internally deposited)個々の物質ではなくグループとして評価
ラジウム224と放射壊変物(Radium-224 and its decay products)
ラドン222と放射壊変物(Radon-222 and its decay products)
石英およびクリストバライトの粉体 (Silica dust, crystalline, in the form of quartz and cristobalite)吸引による肺がん
太陽光曝露(Solar radiation)紫外線による

上の項目は一部を抜粋しています。*Wikipedia参照

グループ1というのは「発ガン性がある。発ガン性の十分な根拠がある」という分類です。「ラドン222と放射壊変物」「α線放射核種の内部被爆」はグループ1です。下は日本の環境省ホームページの一部です。こう記されています。

「ラドンおよびトロンは地面や建材等から空気中に拡散するため、私たちは普段の生活において日常的にラドン及びトロンを吸い込んでいます。呼吸によって吸い込まれたラドンは肺に到達し、α線を放出するため、肺への内部被爆が問題となります。・・・・・」

つまり環境省はラドンが肺ガンに直結しているというWHOの主張に同意しているわけです。地面及び建材から空気中に拡散するとの記述ですが、地面に一番近い床下が一番の濃度が高いのです。この事実があるにもかかわらず、床下エアコン、床下を経由した換気装置、24時間全館空調が日本では野放し状態です。

ラドンの吸入による被ばくのイラスト

ラドン(ラドン222)及びトロン(ラドン220)はラジウム鉱石が放射性壊変をした際に発生する気体状の放射性物質で、呼吸によって人体に取り込まれます。ラドンは、ウランから始まる壊変(ウラン系列)で生成したラジウム226が壊変したもの、トロンはトリウム232から始まる壊変(トリウム系列)で生成されたラジウム224が壊変したものです。半減期はそれぞれ、ラドンが約3.8日、トロンは約55秒です。
また、天然に存在する放射線による被ばくの中では、ラドン及びその子孫核種による被ばくの割合が一番大きいといわれています。
ラドン及びトロンは地面や建材等から空気中に拡散するため、私たちは普段の生活において日常的にラドン及びトロンを吸い込んでいます。呼吸によって吸い込まれたラドンは肺に到達し、α(アルファ)線を放出するため、肺への内部被ばくが問題となります。体内に吸い込まれたラドンは更に壊変して子孫核種となり、肺や、喀痰と共に食道から消化器官に移行して内部被ばくをもたらします。
ラドンとその子孫核種では、内部被ばくの寄与はラドンからは小さく、ラドンから壊変した子孫核種のほうが大きくなります。これは、ラドンは気体であるため、吸い込んだとしてもすぐ呼気と共に排出されやすいのに対し、ラドンの子孫核種である放射性のポロニウム218や更に壊変した鉛214等は固体状であるため、一旦吸い込むと、肺胞や気管支壁面に付着し、体外に排出されにくいことが原因です。

本資料への収録日:平成27年3月31日

改訂日:平成28年3月31日

*引用:環境省「ラドン及びトロンの吸入による内部被ばく

 床下の空気を室内に取り込むことは自殺行為です。政府が規制していないからといって、WHOが認定している事実を無視し、家を造り続けることは犯罪と同じです。多くの国民を苦しめることになるのです。

 私たちは今、アスベストを、とても恐れています。しかしWHOが発ガン性を指摘したのは1975年です。それに対して日本政府が全面禁止としたのは40年後の2015年です。

その間に多くの人々が病に侵され苦しんで亡くなっています。このことを思い出してください。床下の空気が第2のアスベストにならないこと祈ります。

以下にラドンとガンと題されたWHOファクトシートを掲載します。

WHO世界保険機構文書より

ラドンとがん
WHO ファクトシート No. 291 ,
2009年 9 月 更新

重要な事実

  • ラドンは多くの国において、肺がんの第2位の重大な原因である。
  • ラドンは、その国の平均ラドンレベルに依存して、全肺がんの3%から 1 4%を引き起こすと推定されている。
  • ラドンは、喫煙者において肺がんを引き起こす傾向を高め、非喫煙者においては肺がんの第1 位の原因である。
  • ラドン誘発性肺がんは、高濃度ラドンよりもしむしろ低度ないし中程度の濃度のラドンにより主として引き起こされる。その理由は、多くの人々がそのような低濃度で住居の屋内ラドンにばく露されているからである。
  • 住居内のラドン濃度が低くなるにしたがってリスクは小さくなるが、これれ以下のラドンばく露ではリスクがないという閾値までは知られていない。
閾値(いきち)その現象を起こさせるために加えなければならない最小のエネルギー
 

ラドンとがん

ラドンは化学的不活性で無色・無味・無臭の自然発生する放射性ガスである。 自然のウラニウムの放射性崩壊から生成され、 岩石および土壌の中から検出されるる。また、ラドンは水からも検出される。
 
ラドンは、地中から大気中へ容易に漏出し、 ラドン娘核種と 呼ばれる短命な崩壊生成物を経て崩壊する。ラドン娘‘核種ま崩壊の過程で、放射性アルファ粒子を放出し、 大気中のエアロゾル、埃およびその他の微粒子に付着させる。我々が呼吸する時、ラドン娘核種が気道内壁の細胞に沈着し、そこでアルファ微粒子がDNAを障害し、肺がんを引き起こす可能性がある。
 
娘核種 放射性核種が放射性崩壊することによって新しく生成された核種
 
ラドンは、地中から大気中へ容易に漏出 し、ラドン娘核種と呼ばれる短命な崩壊生成物を経て崩壊する。ラドン娘核種は崩壊の過程で、放射性アルファ粒子を放出し、 大気中のエアロゾル、埃およびその他の微粒子に付着させる。我々が呼吸する時、ラドン娘核種が気道内壁の細胞に沈着し、そこでアルファ微粒子がDNA を障害し、肺がんを引き起こす可能性がある。
 
屋外のラドン濃度は通常、非常に低い。 屋外ラドンの平均濃度は5から15 Bq/m3 の間にばらつく[ラドンの放射能はベクレル (Bq) で測定される。1 ベクレルは毎秒1個の原子核変換(崩壊)に相当する。 大気中のラドン濃度は、1立方メートルの大気中での毎秒の原子核変換の数(Bq/m3) で測定される。)屋内のラドン濃度は屋外より高くなり、その最高濃度は、炭鉱、洞窟、水処理施設などの場所で検出される。
 

ラドンの健康影響

多くの国において、ラドンは喫煙に次ぎ、2 番目に大きな肺がんの原因である。 肺がんへのラドンの寄与割合は 3 – 14%の範囲にあると推定されている。
 
顕著な健康影審は、高濃度のラドンにばく露されるウラニウム鉱山労働者で見られてきた。その一方、欧州、北米および中国の研究で、もっと低い濃度のラドン 一住宅内で検出される濃度ーもまた健康 リスクを与え、世界中の肺がん発症に相当程度寄与することが確認された [1, 2, 3]。
 
肺がんのリスクは、ラドン濃度が100 Bq/m 3 上昇する毎に 16%上昇する。 量ー反応関係は線形で、肺がんのリスクは、ラドンばく露の増加に比例して上昇する 。 ラドンは、喫煙者において肺がんを引き起こす傾向を高める。
 

住宅内のラドン

ほとんどの人々にとって、最も大きなラドンばく露は住宅内で生じる。 住宅内のラドン濃度には、以下のものが関係する
  • 住宅下の岩石や士壌に含まれるウラニウムの量
  • 住宅内へのラドンの通り道となるような経路
  • 室内空気と外気の換気率。 これは、住宅の構造、居住者の換気の習慣、窓の密閉化により決まる。

ラドンは以下の場所から住宅内に入る

  • コンクリートの床と壁の継ぎ目のひび割れ
  • 床の隙間
  • 中が空洞のプロックで作られた壁の小さな孔
  • 汚水溜めと排水路
ラドン濃度は、通常では、一階、地下室、または地面と接するその他の構造区域で 高くなる。
ラドン濃度は、隣り合う住宅の間で異なり、また一軒の住宅内でも日によって、時間によって変動するものである。 このような変動のため、室内空気中のラドンの年間平均濃度の推定には、少なくとも3ヶ月間の平均ラドン濃度の測定が必要である。
 

住宅内ラドンの低減化

住宅内のラドン濃度は、以下の方法で低減できる

  • 家屋の換気を改善する
  • 地下室から居室へのラドンの通り道を無くす
  • 床下の換気をよくする
  • 地下に「ラドン溜設備」を設置する
  • 床および壁を密閉化する
  • 陽圧換気システムまたは換気システムを設置する
ラドンの安全性に配慮すべきは、特にラドンが高い地域で、家を新築する時である。欧州とアメリカ合衆国では、新しい建物に防護対策を講ずることは決められた措置になっている。一部の国では、 それが強制的措置になっている受動的緩和システムで、屋内ラドン濃度を50%まで低減可能なことが示されている。ラドン換気扇を追加した場合、ラドン濃度をさらに低減させることが可能になる。
 

飲料水中のラドン

多くの国々では、わき水、井戸、試錐孔など地下水から飲料水を得ているこ。れらの水源は、通常、河川、湖、小川など地表水よりラドン濃度がはるかに高い。 多くの国において、個人用水道のラドン濃度のこれまでの測定値は20Bq/1であり、 一部の例では lOOBq/1以上となった。これまでのところ、疫学研究は、飲料水中のラドンと消化器および他の器官のがんとの関連を見出していない。飲料水の品費に関するWHOガイドラインは、公共水道による飲用水のラドンがlOOBq /1を超過する場合、継続的な測定を実施することを推奨している。
 

WHOの対応

WHOは、各国が、全国平均ラドン濃度へのばく露による国民のリスクを低減するため、および高いラドン濃度にばく露されている個人のリスクを低減するために、 国家プログラムを実施することを推奨している。建設中の住宅のラドン濃度を低減するために、建物コード化を実施することが望ましい。国の参考レベルとして100Bq/m 3を推奨している。しかし、その国に圧倒的に広がっている特有の環境下でこのレベルを達成でき ない場合は、参考レベルは 300Bq/m3を超過しないことが望ましい。
 
WHOは国際ラドンプロジェクト(WHO-IRP)を立ち上げ、30ヶ国以上がパートナー・ネットワークを構築し、ラドンの健康影響低減のプログラムを明確化し、推進した。WHO-IRPの目的は次の通りである
  • 居住環境ラドンヘのばく露による全世界規模での健康インパトクを推定する
  • ラドンの健康インパクト低減のための効果的戦略を明確にする
  • 防止と緩和のプログラムのための適切な政策の選択肢を促進する
  • ラドンヘのばく露の影瞥について、公衆や行政の注意を喚起する
  • 緩和対策の有効性を確保するために評価と監視を行う
2009年、WHO·IRPは屋内ラドンに関するW HOハンドブックを公刊し、その中で、ラドンの居住環境ばく露による健康リスクを低減するための推奨と政策選択肢を提供している。
 
また、WHOは、加盟国がラドンばく露の寄与による肺がんの発症数を継続的に推定することを支援している。これにより、今後のラドン防止・緩和活動による健康インパクトの評価と監視が可能になると思われる。

 
参考文献
1. Adjusting Lung Cancer Risks for Temporal and Spatial Variations in RadonConcentration in Dwellings in Gansu Province, China. Lubin JH et al; 2005; Radial. Res; 163:571-579. 2. Residential Radon andRisi, of Lung Cancer: A Combined Analysis of 7WHO I Radon and cancerhttp://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs291/en/#[2013/10/3116:53:12]North American Gase-Control Studies. Krewski D et al; 2005; Epidemiology; 16:137-145. 3. Radon in homes and risk of lung cancer: collaborative analysis of individual data from 13 European case-control studies. Darby Set al; 2005; BMJ; 330 (7485): 223-227.
(本文終わり)
 

 
(翻訳について)
Fact Sheetの日本語訳は、WHOから正式の承認を得て、電磁界情報センターの大久保千代次が英文にできるだけ忠実に作成いたしました。文意は英文が優先されますので、日本語訳における不明な箇所等につきましては英文でご確認下さい。 (2013年11 月)
 
 

 

参照元:WHO(世界保健機構)

住宅業界も企業は競争に打ち勝ち生き残るために、お客様の目を引こうとして、奇をてらったようなシステムや商品が次々と出てきます。しかし、それらは本当に必要なものかを、本当に安全なのか、あなた自身でよく検討しなければなりません。大手の○○ハウスがやっているのだから、地元で有名な○○ホームの営業マンが言っているから、というだけで頭から信用してはいけません。

その昔、アスベストはクボタやパナソニックをはじめ多くの有名企業が使用していました。1972年にWHOが発ガン性を指摘したにも関わらず、日本で全面使用禁止になったのは2012年です。実にWHOの指摘から40年かかって、やっと全面禁止されたのです。その間、2005年にクボタショックが起こっています。それでも、そこから7年かかって全面禁止となるのです。悲しいかなこれが実態です。自分の身は自分で守るしかありません。政府も大企業も守ってはくれません。政府が禁止していないからといって安心などとは、ゆめゆめ考えてはいけません。家族を愛しているのであれば、24時間全館空調であろうが、単なる床下エアコン暖房であろうが、とにかく床下の空気を室内に取り入れることは、絶対にしてはいけません。なぜなら、貴方や家族が肺ガンになっても誰も責任を取ってくれないからです。