~集成材~
弊社では10年以上前から構造材である柱は桧か杉の無垢材を使用しています。実は注文建築の家づくりを始めたころは集成材を使っていました。お客様には「無垢材よりも1,5倍強いですから」と言っていました。しかし本当の理由は安いからでした。それと無垢材は集成材に比べて収縮やねじれがどうしても大きくなり、お引渡しした後、お施主様から内部仕上げ材のクラックや隙間の発生などでクレームを言われることがあるからという理由でした。しかし、約11年くらい前にご注文を頂いたお施主様のN様は「私は無垢材でお願いします」と言われました。私が「30万円以上の追加が出ますが」と言いましたが無垢材を強く主張されました。
2020年3月
その理由は以下の通りです。
お客様が無垢材を選ばれる理由
- 自分は化学会社に勤務しているので接着剤のことはよく知っている。
- 集成材の接着剤は100年間接着している場合もあるが、半年で剥離(離れること)する可能性もある。
- 集成材の柱が万一、剥離したら家は地震がなくても潰れてしまう。
- それに接着剤はなんだかんだ言っても、やはり有害である。
- 一生に一度しか建てられない自分のマイホームで30万円位のことで、そんなリスクは冒したくない。
N様にこう言われるまで正直、私は集成材が剥離するなどということは考えたこともありませんでした。 過去にも剥離事件は結構あったことを知りました。
結局、N様は柱も梁もすべて無垢材で建てられました。それ以来、弊社は集成材の柱の使用はやめて、兵庫県産の桧を標準仕様としました。
【重要】集成材の保証書
皆さん、下記の保証書をご覧ください。これはとても大切なお知らせです。
構造用集成材開始保証制度というのがあります。簡単に言えば、集成材が剥離して柱や梁が3/1000以上(1mで3mm)傾けば、10年以内なら大手損害保険会社が保証します、というものです。
なぜ、このような保証制度が存在するのでしょう。答えは簡単です。集成材は剥離するからです。皆さん、10年過ぎて11年目に集成材の剥離があって、家が傾いても、だれも保証してくれません。それでも集成材を使いますか。
断面欠損が少ないという理由で「金物工法」を採用しますか。
最後は下図のようになるリスクがあります。ならないかも分かりません。なるかも分かりません。しかし、一生に一度の家づくりに、そのようなリスクを冒す必要がどこにあるのでしょうか。しかも集成材は接着剤の固まりです。
*集成材と金物工法を使ったことによる剥離の危険性のイラスト
集成材と金物工法についてのブログはこちらをご覧ください。
さいごに
集成材は剥離のリスクがある。家づくりをするならその危険性を覚えておいてください。集成材が無垢材より劣る部分はもちろんありますが、地震などのきっかけで家が一瞬のうちになくなってしまう可能性もゼロではありません。
家づくりは一生に一度のみ経験する人がほとんどです。その当時30万円程度の増額で集成材から無垢材に変えて家を建てたいと言われていたお施主様のように、必要な選択をしましょう。