~理不尽~

2022年6月

ロシアによるウクライナ侵略が始まって4か月が経ちました。世の中には色々な理不尽なことがありますが、これほどひどい理不尽がほかにありますでしょうか。一方的に他国に侵入し、何の罪もない人々をミサイルや砲撃や銃撃によって殺していく。私たちは絶対的にロシアが悪い、やっていることは残虐非道以外の何ものでもないと確信しています。ところがロシアが自分の非を認めないのは致し方ないにしても、国連の対ロシア非難決議案になんと40か国が棄権や反対(5か国)に回るという現実には正直驚きました。各国にそれぞれいろんな事情があるのは分かりますが、罪のない人々が殺されていくことに対して、それを理不尽な行為と解釈しない国々が多く存在することに、どんな論理があるのか是非知りたいものです。

以前、妻からこんな言葉を聞きました。「中国では、騙した人も悪いけど、騙された人はもっと悪いと考えるみたいよ」全ての中国人がこのような価値観をもっているとは思いませんし、また中国人に限らず日本人でも、そのように考えている人はいると思います。ネット上のやり取りも見ましたが、用心もせず、疑いもせず、人を信用して騙された人が悪い、という類の書き込みが結構ありました。私は納得できません。私の価値観では、騙された人は善意の被害者で、騙した人は法を犯せば犯罪者(詐欺師)で、法に触れないまでの騙しをする人(警察に逮捕されない人)は極悪人、外道(仏教用語で仏の教えが届かない人)と考えています。ですから、騙した人より騙された人が悪いという考え方は、私にはやはり理不尽としか言いようがありません。

尊敬するイエローハット創業者の鍵山秀三郎先生は著書の中で、騙されて年商が20億円くらいの時に10憶円以上の不本意な債務を背負わされることになった時のことが記されています。筆舌に尽くし難い苦しみのなか、ポックリ病で死ねたら有難い、とまで思うようになったとのことです。それでも歯を食いしばって5年かけて、その苦境を乗り切られたのです。その内容はここでは省略しますが、本当に理不尽な目に合うわけです。そして後日この経験が自分を強くし、会社を発展させることが出来たと述べられています。

もめごとや紛争の多くはお互いが自分こそ正義と考え、相手を批判します。その場合、第3者から見て、それぞれの言い分が共に理にかなっているというときもあれば、明らかに一方が正義を振りかざし非道の限りを主張している場合も往々にしてあります。ウクライナを侵略しているロシアや、騙して鍵山先生を苦しめた人たちは間違いなく非道の行いと断言します。そしてそれは悲しいかな、私の周りにもそういうことが稀に起こります。とても残念なことです。

経営学者の田坂広志先生は「人生で起こることは、すべて深い意味がある」同じく経営学者の飯田文彦先生(元福島大学教授)は「思い通りにならないことこそが、この世で最も価値あること」と述べられています。罪のないウクライナの人々の死や、津波で亡くなった大勢の人々の死に、どのような深い意味があるのか、また、どのような価値があるのか凡夫の私には分かりません。ただ何か大いなる偉大な力がそれをなしている、ということだけは分かるような気がします。私たちは、この大いなる理不尽を乗り越えたその先に、素晴らしい何かが訪れることを願うばかりです。私たち日本人は、いつミサイルが飛んできて命を落とすか分からないウクライナの人々のことを思えば、どんなに恵まれた境遇にいるのかを実感し感謝するべきです。やれエネルギーがどうの、円安がどうの、物価がどうのと騒いでいますが、ミサイルが飛んできて死ぬことと比べたら、そのようなこと比較のしようもありません。この恵まれた環境に感謝し、それに報いるため私たちは、一生懸命に生きなければなりません。生きて働くことで他者への貢献としなければと、念ずる日々です。

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