エアコン1台で家中温かく涼しい

~ダクト内部は大丈夫?~

~メンテナンスは?~

~床下は大丈夫~

最近、エアコン1台で家中が温かく涼しいを謳っている会社が増えてきました。弊社もそのうちの1社です。しかし弊社のそれは、ただ単にエアコンを適正な場所に置けば、家の大きさにもよりますが、うまくいけば1台で過ごせますよ、という極めてシンプルなものです。

それに対して家中にダクト配管をはりめぐらせて、24時間換気とエアコンを組み合わせ、家中どこに行っても温度差がない、省エネで快適になる、というシステムがあります。理論的には間違っていないと思います。しかし、このダクト配管というのがくせ者です。空気の取り入れ口に高性能フィルターを取り付けているから、ダクト配管内部はいつもきれいな状態が保たれている、と考えるのは間違いと断言しておきます。ホコリだけならまだしも、断熱の方法によってはダクト内部が結露し大量のカビを発生させることがあります。

エアコンのダクト内部
エアコンのダクト内部
エアコンのダクト内部
空調機にはフィルターが取り付けられていますが、捕集しきれなかった細かな汚れは徐々にダクト内部へ送られて堆積し、やがて室内へ飛散します。

ネット検索したらダクト清掃業者というのがあることを知りました。HPにはダクト内部のホコリやカビや金属の腐食した映像がたくさん出ていました。そして彼らは最低3年に一度はダクト内清掃をする必要があると言います。エアコンのフィルターを1年に1度は掃除しなければならないことを考えれば、その通りだと思います。問題はそのやり方と費用です。真っすぐ、ないしは少し曲がったくらいのダクト配管なら清掃できることを確認しました。しかし90度あるいは180度に曲げられた配管はほぼ不可能です。そして現実の家はそうなっています。しかもその費用ですが35坪、4LDKの家では10~20万円必要です。3年に一度、20万円出すのはかなり痛い出費ですね。

次の問題は熱交換器素子ユニットが天井裏にあることです。30歳代、40歳代なら脚立に立ってメンテナンスすることも可能でしょうが、60歳代になって脚立の上に立って作業することは危険です。さらに多くのファン(モーター)を必要とします。ファンは電気製品です。寿命があります。10年でモーターが壊れたら取り換えなければなりません。一体いくら必要なのでしょうか? すべての換気空調システムが同時に故障したときに、約100万円~以上必要という試算もあります。(エアコン代は別です)

次に心配なのが床下です。最近、床下エアコン暖房というものも注目されていますが、床下は決していつも清潔というわけではありません。その床下にはホコリも1ミリ以下の小さな虫もコンクリート表面のセメントの粉も存在します。セメントの粉塵は油断ならない危険なものです。粉塵による塵肺の可能性、発がん物質である6価クロムが含まれている可能性も排除できません。まして基礎の内側に断熱材を敷設することはシロアリの侵入リスクを大いに高める結果となります。ダクト配管は何とか清掃できても、高さ40センチ程度の床下をどうやって掃除するのでしょうか?はなはだ現実性に欠けると思います。

床下の環境
基礎内断熱をしています。基礎コンクリートの打継部分からのシロアリ侵入の蟻道になりやすい。
基礎コンクリートから侵入したシロアリ
基礎コンクリートの打継部から侵入したシロアリの蟻道

家づくりで考えなければならないことは、とてもたくさんあります。弊社はまず一番に住む人の安全を考えます。危険と証明されていなくても、危険かもしれない、と予測できるものは極力使わない、というのが基本です。次にメンテナンスに多額に費用と危険が伴うものは、できるだけ排除するということも重視しています。多くの機械は将来多くの出費を招きます。エアコン1台で年中、快適に暮らすことはとてもいいことです。しかし、そのために複雑なシステムを家の中に作り上げ、機械の故障、メンテナンス、ダクト内部の問題と、とてもストレスです。家は快適であるべきです。だからといって複雑に考える必要はないと思います。適正な場所にエアコンを設置する。そしてそれがきちんと機能して、家中に快適な温熱環境をもたらせているのであれば、それで十分と考えています。          

“シンプルイズベスト”は家にも言えるのではないでしょうか。