樹脂サッシを選ぶなら白色がおすすめ【相談役が解説】

様々な商品のサッシ(窓枠)が出ていますが、何がいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか?これまでの経験と知識でおすすめのサッシをご紹介します。

樹脂サッシとは

樹脂サッシとは、ポリ塩化ビニル(PVC)という樹脂でできた窓枠のことです。日本では多く採用されています。

樹脂サッシのメリットとは

樹脂サッシのメリットは何といっても、その断熱性能です。アルミサッシとは比較にならないことは当然ですが、アルミ樹脂複合サッシに比べても断熱性能が優れています

樹脂サッシの構造イラスト

樹脂サッシのデメリットとは

  • 複合サッシより高額
  • 複合サッシより重い
  • 耐久性が低い
  • 結露する
  • 寒い
  • サッシの色で性能が変わる

樹脂サッシのデメリット①複合サッシより高額

一番は複合サッシに比べて高額であることです。家ごとにサッシの数は異なりますが、多くなるともちろんその分費用がかさみます。新築を建てる時もサッシの費用は建物本体の大きな部分を占めます。

樹脂サッシのデメリット②複合サッシより重い

複合サッシと比べるとかなり重いです。80歳以上に歳をとったときに、大きな掃出し窓を、果たして簡単に開け閉めできるでしょうか。人によっては大変な作業になります。トリプルガラスなどはより重くて、ものすごいストレスです。

樹脂サッシのデメリット③耐久性が低い

樹脂サッシの耐久性は一般的に30~50年と言われています。後でも解説しますが(家の寿命と樹脂サッシの寿命と入替費用)、人の寿命が延びた今、新築を建てた家に住み続けることが多いと思います。そこで、30~50年のサッシの寿命では必ずメンテナンスや入替などの工事が必要になります。また、紫外線や熱に対する耐久性はアルミほど強くありません。

樹脂サッシのデメリット④結露する

樹脂サッシであってもガラス表面やサッシ枠が露天温度になれば、必ず結露する。これは宇宙の法則です。

  • 例えば真冬、寝室で加湿器を使い、無断房で寝たら、断熱等級6であっても、明け方には室温15℃で相対湿度が80%になる。その時、窓をカーテンで覆っているとサッシ枠の表面温度が12℃になり結露する。
  • 真冬、寝室で3人、無断房で寝る。室温が14℃、相対湿度が80%になり、窓をカーテンで覆っているとサッシ枠の表面温度は11℃になり結露する。

樹脂サッシのデメリット⑤寒い

樹脂サッシであろうとアルミ樹脂複合サッシであろうと暖房なしに真冬を快適に過ごすことは出来ない。

樹脂サッシのデメリット⑥サッシの色で性能が変わる

黒など濃い色は熱を蓄えてしまいます。そのため黒や濃茶は避けることをおすすめします。表面温度が70℃にもなることがあります。(白は50℃までで止まる)

相談役の樹脂サッシの経験談

樹脂サッシの劣化について

築12年の戸建物件の濃茶の樹脂サッシが劣化し、サッシ枠から雨漏りしました。国内で最も優れた断熱性能と、構造の堅固さで評判のE社の製品です。サッシ枠が夏の暑さ(紫外線、赤外線、蓄熱)によって劣化し、接合部が開いたために雨漏りが生じた。真夏の表面温度は70℃にもなります。

樹脂サッシの劣化画像1
樹脂サッシの劣化画像2

お施主様の声 樹脂サッシの暑さについて

真夏、最高級樹脂サッシにトリプルガラス(真空層+アルゴンガス層) のトイレ窓に、段ボールがはめてありました。私は「どうしてそんなことしているのですか?」と聞くと、お施主様は「暑くてたまらんから」と。いかに樹脂サッシ+low-eガラス+真空層+アルゴンガス層であろうと、真夏の直射日光を浴びればひとたまりもありません。

ハイブリットサッシとは

ハイブリットサッシの構造イラスト

ハイブリットサッシとは、外側がアルミ、内側が樹脂の異なる素材で作られたサッシのことです。

ハイブリットサッシのメリットとは

  1. 断熱性能が高い
  2. 樹脂サッシよりも安価(約3割程度)*ガラスによります
  3. 耐久性が高い
  4. 色を問わない

ハイブリットサッシのデメリットとは

  • 樹脂サッシほどの断熱性能はない
  • 一般的なアルミよりは高い

家の寿命に対して樹脂サッシの寿命と入替費用

家の寿命は何年?

家の寿命は100年と定義しています。

最初に、家の寿命の定義を決めておかないといけません。私の感覚では1995年の阪神大震災を境に、その定義は大きく変わりました。私が住宅業界に入ったのは1985年です。当時は15年で家の価値はゼロになる。と言われていました。また社会全体もそれを受け入れていました。

しかし、現在では長期優良住宅に代表されるように、構造体に内部結露を起こさなければ、100年は十分にもちます。

(構造体の内部結露には絶対注意が必要です。長期優良住宅であってもZEH住宅であっても関係ありません。充填断熱工法で面材に針葉樹合板やOSBボードを使用している家は、内部結露で構造体が腐ります。構造体が腐れば耐震等級3も関係ありません。震度6で家は倒壊する可能性があります。しかし内部結露がなく、空気に触れている無垢の構造材は最低でも200年~300年もちます。)

樹脂サッシの寿命と窓の入替費用

現在は人生100年時代と呼ばれる時代です。30歳で念願のマイホームを50年ローンで手に入れて、60歳になった時、寿命が30年~50年といわれている樹脂サッシが劣化し、あちこちから雨漏りしだした時、はたして500万~700万もかけて、窓の入替工事ができるでしょうか?

前述で家の寿命は100年と定義しました。適切なメンテナンスをしていけば、窓以外の構造体はまだまだもちます。50年ローンでまだ完済していなのに、そんなお金を掛けるのは、よほど裕福な人しか無理だというのが想像できます。

樹脂サッシの寿命と間違えない選択

そもそも樹脂サッシの成分は塩ビ(PVC-U)です。皆さんもご存じのように塩ビは熱(赤外線)にも紫外線にも弱いものです。

繰り返しますが、黒や濃茶の寿命は30年までと考えたほうがいいです。断熱性が良いからといって樹脂サッシを神様のように信じてはいけません。北海道ならいざ知らず、本州以外では必要ないと思います。

家は断熱性能だけで、その快適性が決まるものではありません。それでも、樹脂サッシを選びたいのであれば白色に限定してください。私は今のところ白色に関しては劣化を見たことがありません。まったくの感で申し上げますが、白色なら50年もつでしょう。(裏付けはありません)

まとめ

政府の政策(温室効果ガスの削減という絶対必要な政策)により断熱等級が7まで作られました。そして、住宅会社は競って自社の断熱性能をアップさせます。

しかし、樹脂サッシの寿命と家の寿命のバランスを無視した家づくりは、結局、不幸をつくります。60歳、70歳になって数百万円~1千万円の余分な支出は、家族に不幸を作り出す可能性さえもあります。家は家族の幸せのためにあるものです。皆さんが賢明な選択をされることを切に願います。

神戸市で注文住宅の工務店代表の脇長

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文責 健康住宅指導員 脇長 敬冶

平成7年セレクトホーム 設立
◆資格 宅建主任者、2級建築施工管理技士、気密測定技能士、室内空気質環境検査員、防火管理者

平成7年、不動産仲介業から始めました。現在は住み心地を重視した注文建築、リフォームの請負に特化した工務店として事業を展開しております。

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