~短所~
2019年12月
欠点や短所の無い人間はまずいないと思います。私も短所、欠点だらけの人間です。決して謙遜で言っているのではありません。しかし、短所といわれるものには必ず裏返しの長所があります。例えば、ある人は仕事が遅いが性格がおっとりしていて温和である、その人といると気持ちが穏やかになる、また反対に仕事は早いが気が短くて切れやすい、というようなことは皆さんもよくご存じの通りです。ですから、短所欠点とはかなり相対的なものと言えると思います。そのせいか近頃では短所を直すよりも、長所を伸ばそう、そのほうがその人にとってより良く成長できるという考え方が主流になっているようですね。私もその考え方に異論はありません。私は私の短所である集中力が持続しない、ということをきちんと自覚していますが、それを他人からズバリ指摘されると、あまりいい気がしません。臨床心理士の妻からはアスペルガーとかADD(注意欠陥障害)と言われ続けていますから本当のことなのですが。ある有名なコンサルタントがこう言っていました。「人は本当のことを言われると腹が立つ」凡夫である人間はまさにその通りだと思います。ということで、人の短所を責めてはいけない。それよりも長所を褒めて、それをもっと伸ばすほうが生産的である、ということになるわけです。
しかし、本当にそれでいいのでしょうか。私は人間は皆それぞれその人生において学ぶべきもの、克服すべきものがあると信じています。特に人間は生まれ変わるという輪廻転生を信じている私は、“今回の人生”ということをいつも意識しています。つまり今回の人生では前世で学びきれなかったもの、やりきれなかったものを、学び行動し克服するということが使命であると思うのです。ただ、ほとんどの人は前世の記憶などありませんから、前世で学びきれなかったものなど知る由の無いというのが現実です。飯田先生は“思い通りにならないことこそが、この世で最も価値あることだ”と言われています。たしかに人生は思い通りにならないことの連続です。近頃は思いもよらない介護生活で自分の人生が楽しくなくなったり、また地震や津波や大雨や事故でけがをしたり命を落としたりという、どうしようもない不可抗力もたくさんありますが、自分の短所が原因となって引き起こしたであろう“思い通りにならないこと”もあるはずです。この自分の短所が引き起こしたであろう出来事こそが、実は自分が前世において学び成長しきれなかったことが克服すべき課題となって今ここに現れたのではないでしょうか。私たちはもし、そのことに気付いているのであれば、今回の人生で、それを克服する努力をしなければならないと思います。これは言うのは簡単ですが大変なことです。一朝一夕で出来ることではありません。大変つらく苦しく、相当な集中力の持続が必要です。まさに修行と言っていいのではないでしょうか。また自分の短所に気付いていない人は、思い通りにならない出来事がなぜ起こるのか、とその理由を謙虚に考えてみる必要があります。思い通りにならないことが起こった時、それを他人のせいにしていては成長することは絶対にありえません。謙虚に冷静に深く考えてみてください。これも難しいことですが、やるべき使命と信じて私も精進して参ります。 謙虚反省