~木材の効能、調湿機能~

主要な住宅の構造は木造以外では鉄骨造、コンクリート造があります。木造住宅が鉄骨造、コンクリート造と比較して、生活上、優れている点は、ズバリ木材そのものにあります。では木材の優れているところはというと、大きく二つです。調湿機能とにおいの効果です。 木材の調湿機能を示す実験データに以下のものがあります。6畳間全体を木材とビニールクロスで内装したものを比較したデータです。雨の日に矢印の時点で窓を開け、水蒸気を流入させます。そして2時間後*印の時点で窓を締めます。木材内装では、窓解放時に湿度は89%に達するが、窓閉鎖後に急激に減衰して、約1日後に55~60%になる。しかしビニールクロス内装では窓解放時に湿度は91%に達し、窓閉鎖後に温度の変動に対応して、25~90%の間を変動する。ビニールクロス内装の場合、室内の絶対湿度(水蒸気量)はほぼ一定のため、温度が上がれば相対湿度は下がり、温度が下がれば相対湿度は上昇するため、このような数値になります。それに引きかえ、木材は水蒸気を吸ったり吐いたりして、相対湿度を一定に保つ能力を見て取れます。

木材の効能について

105×105×3000ミリのいわゆる管柱1本で、ビール瓶中瓶(500ml)1本分の水分の調湿機能があると言われています。管柱の材積は0.033㎥です。40坪の家の木材の材積(全ての柱、梁、等の構造材)は約15㎥ですから、以下の計算式が成り立ちます。
15㎥÷0.033㎥×500ml=227,272ml(木材の調湿量)-①
40坪の家に含まれる空気の体積は約400㎥。その時の気温30度、相対湿度80%として、その時の絶対湿度量は
400㎥×24.269ml=9,707ml(40坪の家の中にある水蒸気量)―②
①と②を比較すれば、227,272ml÷9,707ml≒23倍という計算式が成り立つ。
これは40坪の家の空気の中に含まれる水蒸気の23倍もの調湿機能を持つ木材が、その家に存在するということです。この結果からみれば、計算上、家の中はどんな時でも快適湿度が保たれるということになりますが、実際にはそうなっていません。 次に、その原因を考えていきましょう。

1. 1本の管柱に本当に500mlの調湿機能があるのか?
考察:1本の管柱の体積は33,000mlです。500ml÷33,000ml=1.5%
一般に家に使われる構造材は乾燥材です。その含水率は15~20%です。
実験した結果データはありませんが、なんとなく、1.5%くらいだったら調湿してもおかしくないかなと考えられます。
2. そもそも今の家はほとんどが大壁造りです。(柱が壁の中に閉じ込められている)
梁なども、最近では少しずつですが現しにしていますが、建売をはじめ大手住宅メーカーの家で梁の現しはまだ見たことがありません。たしかに水蒸気は壁、天井の石膏ボードを透過しますが、材木の室内への現し状態と、壁内、天井裏、小屋裏に閉じ込められた状態とでは、その差は歴然としたものがあると推測します。
3. 材木の種類に違いがあるのではないかという疑問です。これも実験データがないので、あくまでも推論の域を脱し得ません。同じ木造と言っても、無垢の木と、集成材とLVL(積層板)では、接着材の使用の有無、使用量の多寡によって、当然違いが出ると推測します。当然のことながら接着剤を使用しない無垢の木が最も調湿機能があります。次に集成材、最後にLVLとなります。
4. 家の気密性能が悪いため、外部からいくらでも水蒸気が侵入してくる。これが一番大きいと思います。木材に調湿機能があるといっても、エアコンのように数分で効果を感じるというようなものではありません。上記の実験データでもわかるように、約1日かけて適正湿度になります。しかし、外部から侵入してくる水蒸気は、その家の隙間面積(気密性能)により大きく異なりますが、数秒から数分で侵入します。平たく言うと、夏場、隙間だらけの家では木材がいくら湿気を吸っても吸っても、外からいくらでも入ってくる、というのが実態です。

以上のことから、木材によって家を快適湿度に保つためには、
1. 気密性能を高める
2. 出来るだけ、柱、梁を現しにする。(真壁工法+梁現しが有効)
3. 内装材に無垢の木を使う。(杉、ヒノキがお勧め)木質化率(床、壁、天井の木質内装の割合)は60%が最適。それ以上高いと、睡眠効率が悪くなります。
4. 構造材は無垢の木を使う。

以上の4点はいずれもお金がかかりますが、少しでも予算を割いて実践することが、必ず、快適生活に間違いなく近づきます。

2016年8月
文責 健康住宅指導員 脇長敬治