~冬暖かく、夏涼しい~

「冬暖かく、夏涼しい」現在、多くの家が広告に、このフレーズを使っています。このフレーズは元々、高気密・高断熱でしかも外断熱・二重通気工法を採用していたソーラーサーキット工法が、そのキャッチコピーに使い始めたものと記憶しています。ところで、冬に室内気温が15℃で暖かく感じる人もいれば、22℃でも寒いとおっしゃる人もいます。同じく、夏に30℃で涼しいという人と、26℃で暑いという人がいます。したがって「冬暖かく、夏涼しい」は非常にアバウトな言葉で、すべての家がこの「冬暖かく、夏涼しい」をキャッチコピーに使っても、誇大広告、不当表示と罪に問われることはまずありません。しかし、上述の例は極端として、一般的には冬で20℃前後、夏で26℃(相対湿度60%以下)前後が常識的に快適といっていい気温であると思います。

 次に、冬20℃、夏26℃が家の中の、どの部分で、時間帯はいつ、ということが問題となってきます。冬、夜の9時、リビングがエアコン暖房で22℃になっています。多少、床と天井の温度差が気になりますが、まあ快適です。お風呂に入るため、廊下に出ました。そこは12℃、「おお、寒いなあ」洗面所で服を脱ぎます。そこが8℃、ブルッと来ます。浴室はなんと、4℃です。ブルブルブル!気合いだぁ!私の経験から言わしてもらえば、50歳までは、それでもまだ何とか我慢できます。でも55歳を過ぎたときから、この気温と温度差に、こう思うようになります。「いつか自分はヒートショックで死ぬだろう」と。—–朝になりました。午前6時30分、外はまだ暗いです。寝室の気温、7℃、布団から出るのが嫌だ!でも起きなきゃ、気合いだ!昨晩22℃であったリビングはエアコンを入れ忘れたため10℃でした。

夏、夜の11時、リビングにエアコンが効いています。気温26℃、湿度50%、とても快適です。さあ、もう寝よう、2階の6畳の寝室へ、気温32℃、湿度70%です。ムーっとしていて、このままではとても寝られません。エアコンをつけます。10分もすれば、快適温度と快適湿度が得られます。気温26℃、湿度60%、快適です。朝まで寝られます。しかし、50歳になってこのリズムを3日間以上繰り返すと、50%以上の確率でいわゆるクーラー病になります。朝起きると、体がだるい、のどが痛い、熱っぽい、私もなりました。治るのに3日間かかりました。

もし、冬、どの部屋も、洗面所も、トイレも、お風呂が、24時間、20℃前後で安定していたら、どんなに楽で快適だろう。全館空調でやってはダメです。膨大なコスト、不快な空気の流れ、上下の温度差にやがて辟易とするでしょう。夏、全館空調せずに、24時間、全室涼しくそして、爽やかな空間があれば、どんなに素敵なことでしょう。

これらは実現できます。(必ずしもソーラーサキート工法でなければならないということではありません)次回から、これを実現するための方法を少しずつ、お話ししていきます。

2012年5月
文責 脇長敬治