良い建築会社を見抜く方法「近隣で建築現場を見かけたら」

良い建築会社を見抜く方法
住まいづくりで、最も悩むことは費用や資金のことと、誰に頼むのかということではないでしょうか。家を建てたり、リフォームをしたりするのには、専門の建築会社がなければできないことです。建築会社の実力を見抜くのには、じつは建設現場を見ることが一番のおすすめです。近隣で見かけたときの、建築現場のチェックポイントをご紹介します。
引用:一般社団法人住まい文化研究会「おうちのはなし」297
近隣に建築現場はありませんか?
近年の住宅着工数は、年間80万戸ほどあります。これが多いのか少ないのが、いろいろと意見の分かれるところです。
そこで、たとえば住宅に次ぐ高額商品である自動車で比較してみると、年間では5倍の500万台の自動車が国内で販売されています。この内のトラッタがおよそ80万台で、住宅の数と似ています。さらにその半数強が、いわゆる軽トラです。そうじて通常の軽自動車は、年間130万台です。
またオートバイは、原付も含めて30万台ほどです。家が建っている数よりもずっと少ないのです。そのように考えると、意外と家が建っていることに驚きます。
さらに身近に感じるために、全国の小学校2万校で割って見ると、40戸にもなります。つまり、今、住んでいる小学校区の中でも、家が建てられているということです。
でも、この建てられている家の中には、アパートなどの貸家やマンション、そして建売住宅も含まれています。これらの家は、住まい手の要望で建てられている住宅ではなく、地主や事業者の判断で建てられているものです。
純粋な注文住宅を数えると、1つの小学校区でも年間11棟の家が建てられていることになります。戸建ての建売を含めると20棟です。多くの小学校区は、6歳児の子ども達でも歩いて通えるほどの範囲で、必ず知っている人もいる範囲に、これだけの建築現場があるということです。
そしてひとたび工事が始まると、2ケ月近くは工事期間がかかります。つまり、1つの小学校区では、2〜3棟の工事があっても普通のことなのです。
この狭い範囲の中で建築現場があれば、気づく人も多いのではないでしょうか。あるいは、いつも使っている道から少し範囲を広げて、普段は歩かない道を通ってみると、意外と身近なところに住宅の建築現場があるがもしれません。
近隣で建築現場を見つけたら、真っ先に確認したいのは、どこの建築会社が建てているかということです。
これも注文住宅全体のシェアを確認すれば゛、傾向がわかります。たとえばテレビ広告などで見かける大手メーカーのプレハブ住宅などは、全部のメーカーを足しても2割には届きません。つまり6棟に1棟しかありません。逆に6〜7割の住宅は、地域の建築会社が手がけている現場です。
さすがに全国の建築会社の数は小学校以上にあるので、知らない会社が多いと思いますが、現実に日本の注文住宅を支えているのは地域の建築会社なのです。
そして、大手メーカーも含めて、建築会社の良し悪しを判断するのに、建築現場ほどわかりやすいものはありません。カタログやホームページで判断する以上に、大切な情報が建築現場にはあるのです。近隣に建築現場を見がけたら、いつかは建てる家づくりのために、注目してみてください。
建築会社の普段着の姿
アメリカでは、消費者がより良い建築会社と出会うために、ガイドブッタを発行して企業選びのポイントをまとめています。その基本は、すでにその建築会社で家を建てたオーナーに話を聞くこと、建築現場を見ることと書かれています。
住宅展示場に行けば、たしがに立派な建物があります。また、ホームページを調べだり、カタログや営業担当の人と会っても、それなりに建築会社の状況がわかります。しかし、これらの姿はもしかしたら装った姿なのかもしれません。それに対じて建築現場は、建築会社の普段着の姿を見ることができます。
ちょっと勉強すれば、その建築会社のこだわりや、技術力もわかります。そしてなによりも、施主への配慮やポリシーを読み取ることができます。建築現場を見ることは、それほど大切なことなのですが、では、どのようなポイントを見ておけば良いのでしょうか。
そのポイントは、次の5つです。

看板は建築会社のビジョン
建築現場に無断で進入することはできません。ですから道路から観察するしかありません。最初に確認すべきポイントは、看板です。
中でも工事確認看板というのは、法的に提示を義務化されている看板です。施主や施工会社の所在や電話番号、建築業免許番号、建築確認申請の許可番号など記載内容も定められています。まずは、この看板が見やすい場所に掲示されているかどうかを確認します。
さらに工事確認看板以外に、大きく会社名を明示することは、企業の仕事に対する自信を表しています。また建築会社の住まいづくりへのスロ一ガンも記されていることが多いと思います。どんな住まいづくりを目指している企業なのかがわかります。
安全がいちばん

どんな人でも事故の起きた家に住みたいと望むことはありません。安全に対する配慮が行き届き、無災で工事が進むことを願っています。
現場の作業者が常にヘルメットを被っているのは安全教育に熱心である企業の証です。そして、出入りをする作業者の名前が記載されているのも、安全を誓って進めていることです。
安全確保には整理整頓が大事です。たとえば、釘1つが落ちているだけでも、ちょっとした怪我を呼ぶことになりかねません。ましてや、道路に近いところであれば、車がパンクする可能性もあります。釘を含めて、工具類なども整理整頓ができていれば、より安全な現場となります。また、作業者の不在時には、しっかりと施錠もされているはずです。
安全と同時に、近隣の皆さまに現場を公開する企業か否かも知りたいところです。構造体の見学を実施してくれる企業は、情報開示の面でも信頼できます。この見学の際には、来客用のスリッパやヘルメット・手袋が用意されているかを確認してください。建築現場ではまだまだ危険な部位がたくさんあります。見学する人も最新の注意を払って安全に行動することが求められます。
きれいさでわかる仕事の質
次に現場の清掃状況を見てどれだけ質の高い仕事ができるのかを判断することができます。
新しい建材を使って建てているはずなのに、汚れた現場になるのは、考えてみればおかしなことです。きれいな現場は、当然、施主としても気持ちが良いことです。
現場の周囲に仮設のトイレを見かけられなければそれだけで失格です。昨今では灰皿のない禁煙の現場が普通です。
建築現場のきれいさの基準は、たとえ工事の間であっても、上がるのに思わず靴を脱ぎたくなっているか否かです。
また、日課として仕事の始まりと終わりにじっくりと掃除をしているか。さらには現場だけではなく、前面道路から周囲にまで掃除ができている企業であれば施工を依頼しても安心できる企業です。建築を依頼した施主も、近隣の皆さまにおかけする迷惑に負い目を感じなくて済みます。
多くの建築現場は、各種の下請け職人さんも出入りしています。きれいな建築現場なら、自社の社員ばかりではなく、現場で働く職人さんまで住まいづくりを楽しんでいる企業です。
そして、建築現場にあるゴミ箱をチェックすると、コストに関する意識を確認できます。ゴミとして捨てられる物も施主の費用の一部です。少ないにこしたことはありません。
構造体を見抜く

実際に現場の中に入って良し悪しを見極めるためには、それなりの知識が必要です。基本的な説明は、建築会社の話しを聞くことです。
注文住宅のほとんどは木造住宅です。建築現場で構造材を見たら、最初にどこの木材か確認してみてはいかがでしょうが。
といっても、なかなか木材を見てどんな材かということを見抜くのは難しいことです。きれいに見えれば良い材というものでもありません。
四季の変化が豊かな日本産の材は、比較的木目のはっきりしている材が多いようです。ムラが目立たな〈て、きれいに見える材は逆に輸入材の可能性があります。特にホワイトウッドという材は、樹種があるわけではなく白っぽく見える材を総称して呼んだものです。赤く見えるレッドウッドと呼ばれる欧州赤松材もあります。
これらの材は供給が安定しているので、大手メーカーがよく使っています。でも、世界中に流通している比較的安い材だと知れば、家の価格をもっと検討しておきたくなるものです。
働く人を見る

最後のポイントは人材です。実際に工事を進めてくれているのは職人さんであり、それは大手メーカーも変わりません。現場の作業者は、職人気質でつき合いにくい面があるかもしれませんが、正直で長くつき合える職人さんの人となりを、観察じてみてください。
以上のように建築現場は、建築会社の経営やポリシーまでを知ることができる、まさに情報の宝庫です。近隣で建築現場を見がけたら、この「おうちのはなし」で学んだ目で観察をしてみてください。
まとめ
住まい文化研究会の「おうちのはなし」より良い建築会社を見抜く方法「近隣で建築現場を見かけたら」を掲載させていただきました。
これから家づくりを考えるうえで皆様が悩むBEST3に入る「建築会社選び」はなかな難しいものです。大手ハウスメーカーのようにCMを見たから、聞いたことのある名前だということなどで決められる方も多いと思います。しかし、地域で活躍している建築会社も多くあります。いきなりショールームに行って話を聞くことに抵抗があれば、近所で工事をしている建築現場は大事な学びの場です。
私たちが考える現場を見るポイント5をまとめます。
- 工事の前に担当者から挨拶または案内状があったか
- 建築現場周辺が清掃されているか
- 作業車など交通の妨げになっていないか(すぐに対応してくれる状況か)
- 職人さんが丁寧に対応してくれるか
- 建材や機材が整理整頓されているか
工事中は騒音などご近所でご迷惑をおかけすることが多くなりますが、日頃からこのようなことをしっかりと意識することで働く人もご近所にお住まいの方も気持ちよく過ごせるのではないでしょうか。もし、建築中の現場を通りかかる機会があれば少しのぞいてみてください。
セレクトホームでは、建築中の様子を見学していただくことも可能です。家の構造や上記のポイントなどをご覧いただける機会をぜひご体感してください。最後までご覧いただきありがとうございました。