~熱、その2~

前回、熱の伝わり方に伝導、対流、輻射の3種類がある、「熱は高いところから、低いところへ移動する」、「窓の大きさと快適な温熱環境は反比例する」の3つを学びました。今回のテーマは、明るくしかも快適な温熱環境をどうやって造るかです。そこで、その前に一つ確認しておきたいことがあります。気象庁のホームページに全国の気象データが掲載されています。神戸の2011年の月ごとの気温(平均・最高・最低)平均湿度をみますと以下の通りです。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
最高10.318.119.321.425.434.035.835.234.326.725.417.9
最低-3.20.20.35.013.116.822.123.116.011.16.40.8
平均4.27.58.013.719.523.627.428.825.419.915.78.2
平均湿度596462637080777373666358

注目すべき事実があります。最低気温が15℃以下の月(1月~5月、10月~12月)は8か月あります。最高気温が30℃以上の月(6月~9月)が4か月あります。皆さんは15℃以下で寒くないですか?30℃以上は暑くないですか?私は寒くて暑いです。つまり1年12ヶ月は寒くて暑い月ばかりだということなのです。もちろん、春らしい、秋らしい、すがすがしい空気に満たされた日々もあることは承知していますし、私もそういう日々が大好きです。しかし、現実にはそのような幸せな日々というのは、1年でもほんの僅かしかないということです。最低でも1年の90%は、とても過酷な気象条件のなかで暮らしていかなければならないという現実をこのデータが示しています。したがって、「自然と共に暮らそう」とか「自然と共生しよう」とか「外の清々しい空気を我が家に」などのキャッチフレーズは、現実を無視した虚言であると私は思います。どうして、0℃や5℃や35℃の外気と共に暮らせるのでしょうか。はっきり言って人命軽視もはなはだしい。だから、毎年2万人近くの人が、家で命を落とすのです。私の考えでは、家は外とは確実に遮断すべきもの、なぜなら家は、家族の幸せの器でなければならないからです。

前段が長くなりました。明るく、しかも快適な家を造る方法は以下の通りです。

①窓を含めた断熱性能を上げる
②夏の西日があまり入らない窓にする
③南面だからといって極端に大きな窓をとらない
④窓を含めた気密性能を上げる
⑤できれば外断熱工法で大きな小屋裏を造る
⑥屋根材や外壁材は出来るだけ遮熱効果の高いものを選ぶ
⑦サッシガラスに日射熱取得率の低いものを使う。

以上の7つを実践していただければ、あとはご希望の窓を入れて頂いても、満足していただける明るく、住み心地の良いお家が出来ます。要するに、家は高断熱・高気密にしましょうということです。それと、夏対策として屋根と外壁材は出来るだけ白いものを選んだほうが、必ず住み心地は良くなります。たとえば、屋根に黒や濃茶の瓦を載せますと、真夏の表面温度は70℃を超える時があります。反対にシルバー色のガルバリウム鋼板という金属屋根にしますと、最大で42℃くらいまでしか温度は上がりません。これは濃い色が熱をためこむ性質があるのと、白やシルバーは熱を反射する遮熱効果と、金属という熱伝導率の高い(熱しやすく冷めやすい性質)素材が、空気温度(気温)に熱を奪われていることによるものです。
次回は水蒸気の性質と結露のことを書きます。

2012年7月
文責 脇長敬治